古くから和紙の原料は、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)を中心に使われてきました。三椏は、日本の紙幣の原料に使われています。これらの植物は、繊維が長く丈夫です。そして、粘りがあるので、繊維同士が絡みやすいという特徴があります。さらに、繊維が沢山取れるということで、和紙の原料にされています。
基本的に植物であれば、紙は出来るといわれています。
・麻(あさ)中国から紙すきが伝えられた頃(今から約1400年前)の原料でした。その後コウゾが使われ始めると、手間のかかるアサで紙をすくことは少なくなりました。世界で最も古い印刷物(いんさつぶつ)、百万搭陀羅尼経(ひゃくまんとう、だらにきょう)はアサの紙とコウゾの紙の2種類があります。
・ケナフ(アオイ科)平成になって注目を集めている原料です。森林伐採による環境破壊がすくないことや、空気をきれいにする、良い土地にしてくれることなどから研究が進められています。和紙原料としては手間がかかりますのであまり向いていません。むしろ洋紙の原料といえます。
・トロロアオイ 和紙を制作する過程でとても重要な役割を担う植物。和紙を漉く際、原料となる楮などの繊維の広がりを均一にするために、このトロロアオイの根から採れる粘液が使われる。その粘液を「ねり」と呼び「ねり」のない水で紙を漉くと、繊維の水中滞在時間が短く、すぐ水が落ちてしまい繊維が均等に散らばらない。
薄くて丈夫、保存性に富んだ和紙の特徴は、この「ねり」があってこそ。